インプランターの種類と使い方

本記事では、インプラント埋入術に使用するインプランターの種類と使い方について解説します。

本記事で学べる歯科知識
  • インプランターの種類
  • インプランターの使い方
  • 回転数とトルクの意味
目次

「インプランターの種類と使い方」の結論

インプランターはインプラント手術で使用する機械で、インプラントメーカーなどにより製造・販売されています。よく使う機能として、回転数、トルク、プログラム、逆回転があります。手術のタイミングに合わせて、適切な設定でインプランターを使用します。

インプランターの種類

インプランターはインプラント手術を行うための機械で、インプラントメーカーなどが販売しています。代表的な製品を以下に示します。

  • STRAUMANN® PRO 2 – ストローマン
  • OsseoSet 300 – ノーベル
  • IMPLANTOR® Neo Series – 京セラ
  • Surgic Pro2 – NSK

メーカーによって詳細は異なりますが、基本的な機能は似ています。

STRAUMANN® PRO 2

OsseoSet 300

IMPLANTOR® Neo Series

Surgic Pro2

インプランターの使い方

インプランターにはさまざまな機能が搭載されていますが、使用頻度が高い機能は、回転数、トルク、プログラム、逆回転です。

それぞれの役割をみていきましょう。

回転数 / Speed

一分間あたりの回転数を表します。単位はmin-1またはrpmが使用されますが、どちらも同じ意味です。回転数はメーカーと製品によって異なるため、事前に確認が必要です。

当院で使用しているストローマンのBLTを例として示します。ドリルの種類によって最大回転数が異なることが分かります。

  • ラウンドバー – 800rpm
  • パイロットドリルØ2.2mm – 800rpm
  • パイロットドリルØ2.8mm – 600rpm
  • ツイストドリルØ3.5mm – 500rpm
  • ツイストドリルØ4.2mm – 400rpm
  • プロファイルドリル – 300rpm
  • タップ – 15rpm
  • 埋入用アダプター – 15rpm

一般的に後半に進むにつれて、回転数は減少していきます。特にタップと埋入では超低速である点を覚えておきましょう。

SURGICAL PROCEDURES Straumann®

トルク / Torque

トルクとは物体を回転させる力のことを指します。ネジ穴にネジを回し入れるときの力がトルクです。

インプラント治療では、主にインプラント体を埋入する際に「トルク」という言葉が用いられます。単位はNcm(ニュートンセンチメートル)です。

例えば「埋入トルクが30Ncm」だとすると、30Ncmの力でインプラント体を回転させることを意味します。

プログラム / Program

回転数の項で述べたように、インプラント埋入手術ではさまざまな回転数とトルクが用いられます。その都度、回転数とトルクを設定していては、手術が円滑に進みません。

歯科医院では使用するインプラントシステムが決まっていることがほとんどですので、あらかじめ使用する可能性がある回転数とトルクの組み合わせを記録しておきます。使用するドリルに合わせて、記録された回転数とトルクの組み合わせを呼び出す機能が「プログラム」です。

逆回転 / Reverse

インプラント体が十分な深さに埋入できなかった際には、逆回転させることでインプラント体を埋入窩から取り出します。その際に使用するボタンが「逆回転」です。

まとめ

本記事ではインプランターの種類と、基本的な使い方について説明しました。回転数、トルク、プログラム、逆回転の機能については、手術中によく使用しますので、事前に役割を理解しておきましょう。

Q&A

「インプランターの種類と使い方」に関連する質問を集めました。

インプランターとは何ですか?

主にインプラント埋入手術に使用される機械です。低速から高速まで細かく回転数を設定できる点や、トルクを設定できる点、逆回転ができる点、生理食塩水による注水ができる点などが、虫歯治療に使用するコントラとは異なるポイントです。

インプランターは何に使いますか?

主にインプラント埋入手術で使用します。埋入窩を形成するためのドリリングや、インプラント体の埋入時に用いられます。

執筆者

東京都池袋のグランドメゾンデンタルクリニックに勤務する歯科医師

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